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廃校に行こう

急速に進む少子化や市町村合併による統廃合等を背景に、全国で廃校が相次いでいます。文部科学省の調査によると、毎年300~600校程度のペースで発生しており、2002年から2020年の間に廃校となった公立学校は、合計で8,580校にものぼります。都道府県別にみると、過疎化が深刻である北海道が最も多い858校であり、次いで東京都の322校、岩手県の311校となっています。公立学校は地域の交流拠点であり、また、災害時には避難所にもなる重要施設です。故に、廃校となってしまった校舎の処遇は、全国の自治体において大きな課題となっています。

2021年5月時点、解体されずに施設が現存している廃校は7,398校であり、そのうち1,424校が老朽化や立地環境、活用の要望がない等を理由にそのままとなっています。一方で、全体の約75%である5,481校は、何らかの形で活用され、新たなスタートを切っています。教育施設や体育施設、県庁舎等の公共施設のほか、近年は地方公共団体と民間事業者との連携が多く見られ、ホテルやグランピング施設、サテライトオフィス、シェアアトリエ、老人ホーム、保育所のほか、道の駅や映画等のロケ地、魚介類の陸上養殖施設、果物やキノコ等の生産・加工工場等、多種多様な用途に転用されています。ユニークな活用事例はメディアやSNSで話題になることも多く、地域の活性化が期待できます。実際に、高知県室戸市の廃校では、プールをウミガメの水槽にする等、学校の設備を使って水族館を作り、県内でも有数の人気を博しているそうです。このように、色々な変貌を遂げている廃校ですが、個人的には、ワイナリーやウイスキーの醸造所として頑張っている廃校が気になります。(祐紀)