相続と鑑定評価

ケーススタディ・6 無道路地

無道路地とは、道路に接していない土地ですが、接道義務(建築基準法第43条の規定により、建築物の敷地が道路に2m(ないし3m)以上接しなければならない)を果たしていない土地については、無道路地に準じた土地と言えます。これらの土地は建物の敷地として利用できない(建物が建てられない)ため、利用効率が相当に落ちます。考えられる利用方法としては資材置場等ですが、建物が建てられる敷地と比較して評価も当然低くなります。

なお、これらの土地は囲繞地通行権を有している土地と言うことができます。囲繞地通行権とは、ある所有者の土地が、他の所有者の土地に囲まれて公道に接していない場合に、囲まれている土地の所有者が公道まで他の土地を通行する権利を言います。

 

Ⅰ 財産評価基本通達による評価

財産評価基本通達による無道路地の評価は、財産評価基本通達(20-2)によると、「無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき《不整形地の評価(20)》の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法その他の法令において規定されている接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額)とする。」と定められています。例示を図解すると以下の通りです。

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<図>の場合、不整形地(通路開設を前提とした旗竿地)としての評価…(1)をした後、通路開設費用相当額…(2)を控除することになります。

 

(1)については、以前のケーススタディ(連載/第2)で触れた方法により評価します。

 

  不整形地補正率※1   間口狭小補正率※2

        0.88  ×  0.90   ≒ 0.79・・・A

 

 

  間口狭小補正率      奥行長大補正率※3

        0.90  ×  0.90   = 0.81・・・B

 

1 普通住宅地500㎡未満でかげ地割合35%までの不整形地補正率

2 普通住宅地で間口4m未満の間口狭小補正率

3 普通住宅地で奥行/間口が8以上の奥行長大補正率

 

上記の二つの方法を適用して低い方を採用しますのでA0.79となり、標準的な画地条件を前提とした土地に対して21%の減価率となります。

 

(2)については、状況により費用が大きく異なることになりますが、不整形の評価後(即ち(1)で得られた価格)40%が限度となります。

 

(1)(2)= 財産評価基本通達による評価額

 

なお、建築基準法の道路に該当しない道路(いわゆる通路)にのみ接しているが路線価が付されている場合、財産評価基本通達上は無道路地に該当しないため、上記のような評価はしません。ここは鑑定評価と大きく異なる点です。財産評価基本通達においては路線価が付されているか否かがポイントであり、付されている場合には無道路地として評価されないことになります。

 

Ⅱ 不動産鑑定士による評価

<取引事例比較法における減価>

鑑定評価手法のうち取引事例比較法において考慮する減価率を見ていきます。

(1)囲繞地通行権を前提とする場合

(2)通路に接する場合

 

(1)については財産評価基本通達の評価方法と同様に、不整形地(通路開設を前提とした旗竿地)としての査定をした後、通路開設費用相当額を控除することになります。うち、不整形地としての査定については、上記財産評価基本通達の評価方法のように画一的ではないことは以前のケーススタディ(連載/第2)で触れた通りです。

減価要因を考慮して求めた減価率は以下の通りです(それぞれの減価要因の相乗積として求める方法…C、袋地として複合的に求める方法…D)

 

 

  間口狭小           奥行長大              不整形

(1-0.2) × (1-0.1) × (1-0.15) 0.61C

 

          有効宅地部分                                  路地状部分

(270㎡×(1-0.3) + 24㎡×(1-0.7))÷294㎡ ≒ 0.67D

 

仮にCが妥当と判断された場合、減価率においては財産評価基本通達よりも約18%大きな減価となります。不動産鑑定士の判断によっては、減価率がさらに大きくなることもあります。

また、通路開設費用相当額の査定については、不整形地の価格の40%が限度などという決まりは当然ありません。40%を超える開設費用が必要であれば、その費用を全て控除することになります。通路開設にあたっては、個別の事情が大きく影響するため、40%では収まらないケースも十分想定されます。

 

(2)の場合で路線価が付されている場合、財産評価基本通達の評価においては無道路地扱いがされませんが、鑑定評価においては接道義務を果たすかどうかが重要なポイントとなります。通路に接していても、建物が建てられなければ価値は大幅に下がります。従って(2)の場合における鑑定評価額は、財産評価基本通達の評価額よりも低くなる場合があり得ます(但し、路線価が相当に低くなっている場合や、都市計画区域外の場合(この場合は接道義務自体がない)においては、鑑定評価額の方が低くなるとは限りません)

 

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