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不動産鑑定評価の必要性が認められるケース

1 地価等が変動する環境下において、直近の市場価格(時価)を判定する

一般に、地価・建築費・賃料は経済情勢の変化に伴って著しく変動するものです。特に昨今の市場環境は、景気変動の波が大きく短期間で地価などに著しい上昇や下落が見られることが多くなっています。このような地価変動期においては、いつの時点での価格を求めるかによってその結果が大きく異なることも考えられます。一般的な公的指標である地価公示価格や相続税路線価、固定資産税評価額などは基準日(1月1日)での価格になりますので、この指標だけをもって価格水準を把握すると、時間の経過による地価変動分を十分に考慮することができない場合が生じます。不動産の鑑定評価では、評価対象となる不動産ごとに価格時点を定め、この価格時点における価格を評価します。そのため、ある時点における正確な価格(時価)等を知るためには、不動産鑑定評価は最も有効な方法といえます。

2 公的指標と市場価格のかい離を判定する

地価に関する公的指標としては地価公示価格や相続税の路線価などが一般的です。これらの指標は標準的な土地に係る指標として用いられますが、すべての不動産にそのまま適用できるものではありません。不動産のあり方は多種多様であり、その個別性によって価格も大きく異なる場合があります。たとえば、間口が極端に狭くて有効な利用ができない土地や、傾斜や道路との高低差が激しいため大がかりな造成をしなくては利用できない土地など、その形状や自然的条件によって利用が阻害される場合には標準的な土地の価格に対して市場での実際の価格は下回ることになります。また、形状は問題ないものの斜線制限や日影規制により十分な容積率を消化できない土地や、自治体の意向により開発行為が制限される地域にある土地など、行政的条件によって利用が阻害される場合にも市場価格は標準的な土地の価格よりも低いものとなります。反対に、賃貸中の不動産で賃貸条件が標準的なものよりも貸し手に有利な場合や、行政法規が厳しく変更される以前からある建物で今後も一定期間の利用が可能な場合などでは、標準的な価格を上回る可能性もあります。
このように、公的指標のみでは把握できない個々の不動産の特性について、不動産鑑定評価を利用することで、公的指標と市場価格とのかい離を判定し、それぞれの不動産の正確な価格を知ることが可能となります。

3 相続税等の適否を判断する

公的指標と市場価格のかい離について、よくあるケースとしては相続時の不動産価格に関する問題が挙げられます。不動産に係る相続税は財産評価基準に基づき、路線価に一定の計算を行って課税されます。これは、課税の公平性・画一性を確保するための基準であり、不動産の特性を平均化した補正率を用いて評価を行うものです。相続の対象となる不動産が、標準的な規模・形状で、利用効率にも特に問題がない場合には、この財産評価基準による評価方法でも大きな問題は生じません。ただし、前述のケースのように、個々の土地の特性を詳しく調べた場合に標準的な利用ができない土地については、財産評価基準による評価額を下回る場合も考えられます。したがって、不動産の鑑定評価を活用して、対象となる不動産の個別性を十分に加味した適正な価格を調べることで、相続税の適否を判断することも可能となります。

以上は不動産の鑑定評価について及び鑑定評価が必要とされるケースについて、概略的な説明となります。ここでは、より具体的な例を取り上げたケーススタディによって、鑑定評価が有効となるケースを紹介していきたいと思います。