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ケーススタディ・3 帯状地

 土地には「帯状地」と称される土地があります。文字通り帯のような細長い形状ですが、帯状地の中にも長方形状、不整形状、無道路地等と様々ありますので、ここでは帯状地として分かりやすい以下の〈図1〉を前提とします。

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 視覚的に明らかですが、このような形状なので建物の建築が困難で用途が限定され、単独での利用が出来ないケースがほとんどになります。よって、間口や奥行きが標準的な土地に比べて市場流通性に劣り、減価が発生することになります。この減価の判定にあたって、相続税算定のための財産評価基本通達による評価と、不動産鑑定士による評価では開差が生じる場合があります。

 

Ⅰ 財産評価基本通達による評価
 相続税算定のための財産評価基本通達によると、〈図1〉の土地の補正率については①奥行価格補正率(付表1)、②間口狭小補正率(付表6)、③奥行長大補正率(付表7)を相続税路線価である200,000円/㎡に乗ずることにより㎡単価を評価します。式で表すと以下の通りとなります。


   路線価   奥行価格補正率※1   間口狭小補正率※2  奥行長大補正率※3
 200,000円   ×   0.98    ×     0.90    ×     0.90   = 158,760円/㎡

※1 普通住宅地区で奥行き4m未満の奥行価格補正率
※2 普通住宅地区で間口4m未満の間口狭小補正率
※3 普通住宅地区で奥行÷間口が6以上の奥行長大補正率

 

 上記より、標準的な画地条件を前提とした土地に対して約21%の減価率となります。
 上記の方法は、数多くの相続案件を画一的に評価するために標準化された係数を用いた課税上の評価方法ですが、実際に不動産鑑定評価を行った場合には上記とは異なる結果が考えられます。

 

Ⅱ 不動産鑑定士による評価
1 取引事例比較法における減価
 鑑定評価手法のうち取引事例比較法では、類似性の高い多数の取引事例から対象土地の属する地域(近隣地域)の標準的な価格を求め、これに対象土地の形状や規模などの個別的要因を加味して比準価格を試算します。この個別的要因の比較にあたって、〈図1〉の土地では次の減価要因が挙げられます。
①間口狭小による減価
②奥行長大による減価
 これらの減価要因を具体的に計算する方法としては、それぞれの減価要因の相乗積として求める方法があります。これを地価公示等において用いられている標準的な格差率が記載されている「土地価格比準表」(国土交通省 土地・水資源局 地価調査課 監修、地価調査研究会 編著)に基づき減価率を算定すると以下の通りとなります。

             間口狭小補正率    奥行長大補正率
 〔1    -    (     0.8        ×     0.9      ) 〕   = 0.28(減価率)

 

よって、時価=相続税路線価の場合、㎡単価は以下の通りとなります。

 200,000円 × (1 - 0.28) = 144,000円/㎡ 

 

上記の通り、減価率においては財産評価基本通達よりも約7%大きな減価となります。また、個別評価によっては、不動産鑑定士が判断する減価率がさらに大きな減価となることがあり、〈図1〉のような帯状地ですと市場流動性が極端に低いことも加味され、標準的な画地に対して、30%~60%の減価となる場合もあります。

 ただし、標準的な画地の価格が相続税路線価よりも高額な場合(このケースでは標準的な画地の価格が相続税路線価の1.1倍超で、「土地価格比準表」によって評価する場合)、減価率が0.28であっても、総額としては財産評価基本通達による評価額のほうが低くなるケースもあるので、地域の市場動向、相場等を注視する必要があります。

 

 

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