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ケーススタディ・5 私道

  道路には大きく分けて公道と私道があります。うち私道は民間人や民間企業が所有・管理している道路です。私道は私人(所有者)が管理しており、当該道路が建築基準法上の道路であれば、422項道路、4215号道路(いわゆる位置指定道路)等の種類があります。

不動産鑑定評価と財産評価基本通達による評価では私道の評価の仕方も異なりますが、財産評価基本通達においては私道が「不特定多数の通行の用に供するか、否か?」が重要なポイントとなります。

私道は公道と同じで、あくまで通行等の目的で利用されている土地であり、道路として利用する以外に使用方法が無いのであれば、恐らくその価値は相当に低く、価値が全く無いと判断されるケースも多いと考えられます。

 

Ⅰ 財産評価基本通達による評価

 

相続税算定のための財産評価基本通達(24)によると、「私道の用に供されている宅地の価額は、《評価の方式(11)》から《倍率方式による評価(21-2)》までの定めにより計算した価額の100分の30に相当する価額によって評価する。この場合において、その私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しない。」と定められています。この規定からは「不特定多数の者の通行の用に供されているとき」を除いて30/100に相当する価額で評価することが読み取れます。前述の通り、財産評価基本通達においては、私道が「不特定多数の通行の用に供するか?」が重要なポイントであり、不特定多数の者の通行の用に供されるか否かで評価方法が異なることになります。

 

<具体的評価方法>

(1)   不特定多数の者の通行の用に供されている場合

→その私道の価額は評価しない(ゼロとなる)

 

(2)   不特定多数の者の通行の用に供されていない場合

→その宅地が私道でないものとして路線価方式または倍率方式によって評価し、その30%相当額が評価額となる。

なお、このような私道には路線価が付されていないため、特定路線価の設定を申請し、特定路線価によって評価を行うことになります。

特定路線価とは、路線価の付されていない道にのみ接している宅地を評価するために、所轄税務署長に対し路線価付設の申請書を提出することにより設定されたものを指します。

 

Ⅱ 不動産鑑定士による評価

 

<取引事例比較法における減価>

鑑定評価手法の一つである取引事例比較法は、これまでのケーススタディでも説明した通りですが、類似性の高い多数の取引事例から対象土地の属する地域(近隣地域)の標準的な価格を求め、これに対象土地の形状や規模などの個別的要因を加味して比準価格を試算します。この個別的要因を加味する際、私道であることによる減価率を求めることになります。

 これまでのケーススタディでも紹介のありました「土地価格比準表」(国土交通省 土地・水資源局 地価調査課 監修、地価調査研究会 編著)を見ると、減価率の幅が以下の通り示されています(但し標準住宅地域の個別的要因)

  0329-1.jpg  この減価率を前提とすると、宅地と比較して50%80%以上低い評価が得られることになります。  財産評価基本通達に基づいた場合、宅地に対して30%の評価(70%の減価)となります(ただし当該私道が不特定多数の者の通行の用に供されている場合はゼロ評価)   不動産鑑定士の評価と比較した場合、財産評価基本通達に基づくと宅地に対して30%の評価、またはゼロ評価と画一的ですが、不動産鑑定士の評価においては、個別案件によって結果が異なってきます。上記「土地価格比準表」通り、共用私道であっても70%を超える減価と判断することもあります。従って、不動産鑑定士の評価と財産評価基本通達に基づく評価のどちらが低く(或いは高く)なるということは一概に言えません。  但し、不動産鑑定士の評価において、「不特定多数の者の通行の用に供されていない私道」について、宅地に対して70%以上の減価をした場合には不動産鑑定士の評価の方が低い評価となります。  

 

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