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環境不動産の「ザイン」と「ゾルレン」

 日本ヴァリュアーズ名古屋本社の松原です。

 

 このブログの原稿に何を書こうかと考えていたとき、たまたま一般財団法人日本不動産研究所が「第25回不動産投資家調査」を発表しました。他社の調査結果ではありますが、それを拝見しての印象を書いてみたいと思います。アンケート票や回答そのものは見ることができませんので、あくまでも公表されている情報に基づく意見です。

 

 まず、調査結果のうち、特に目についた点を簡単にまとめてみます(詳細は、日本不動産研究所のHPでご覧ください)

 

・「環境不動産の市場価値に対する理論的認識」については、約3/4がプラスの評価。

・「環境不動産の市場実態」については、市場でプラス評価という回答が15%しかない。大多数が価値への影響が明確ではないと回答。

・「環境配慮が不動産投資リスクに与える影響」は、現時点では「環境配慮が優る場合」は「劣る場合」と比べて、不動産投資リスクは約70%が「変わらない」と回答。一方で、将来時点では「変わらない」とする回答は30%前後に減少し、リスクが増減するという意見が増加。

・「環境配慮がキャップ・レートに与える影響の程度」は、現時点では環境配慮の優劣で差はなく、将来時点では±10ベーシス、最大で±20のスプレッドがあるという結果。

 

今回の調査では、「理論的認識」と「市場実態」を、日本不動産研究所が尋ねているところに、「環境不動産」の措かれている現状を示していると思います。つまり、理論的に考えられることと市場の実態は乖離しているという認識の上に、このアンケートが作成されているということです。この乖離を認識しているからこそ、このような設問になったわけですし、その想定通りの結果となったと言えるでしょう。

つまり、現在は環境配慮の優劣で市場価値に差はないが、将来的、長期的には明確に差が出てくると認識している投資家が多数であるということです。

 

このアンケート結果では、何故現時点では差が生じないのか、その理由は何か、という設問や、何故将来的には環境配慮の優劣によって市場価値に差が生じるのか、という設問がないので、投資家がどのように考えているかはわかりません。ただこの結果を見る限り、将来的に環境配慮の優劣によって本当に差が生じるのだろうかと疑問に感じました。というのも、現状では環境配慮に優れた不動産の市場価値が高くは見られていない訳です。これは景気の低迷やそれに伴うコストダウンの流れも影響しているとは思いますが、環境不動産に入居するインセンティブがあまりなく、そのため、環境不動産の市場価値が高く見られないのだと思います。では、これが将来的にはどうなるのか。この市場の実態が変わらなければ、この状況が続くと考えるのが自然ではないでしょうか。

 

しかし、環境不動産の普及・拡大を考えるのであれば、現状のままというわけにはいきません。だとすれば、民間の自発的な努力に依存するのではなく、耐震基準と同様、法的な義務づけを行なうとか、環境不動産へのインセンティブを付与する等の施策がもっと必要ということがうかがえます。

 

 今回の調査は、投資家が環境不動産をどう見ているかを端的に示していて、ある意味で予想通りの結果ではありますが、興味深かったです。と同時に、環境不動産の行く末に危惧も覚えました。我々不動産鑑定士が求める価格は「ザイン」(あるがままの価格)とされています。とすると、当分は環境配慮によっては差がつけられない・・・。現状ではそういうことになってしまいます。

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