日本ヴァリュアーズ東京本社の中澤です。
今回は「携帯電話とエコ」について考えてみたいと思います。
スマートフォンの急速な普及によって、既存の3G回線がパンク寸前の危機にあることは皆さんご存知の通りだと思います。いわゆる、「トラフィック問題」です。例えばデータ通信量が2015年に、2010年比で26倍に急増するとの試算もあり、現状のインフラだけでは支えきれないのは確実です。自社回線網の増強には膨大な費用がかかるため、各社ともデータ通信を外部に逃がす迂回路として無線通信WiFiを使うための公衆無線基地局の拡充などに取り組んでいるのが現状です。この話に触れたとき、今夏の電力供給制限時に、電力制限、あるいは節電施策との関係で、何かしらの議論の共通項を感じました。「電気が足りない、だから省エネを」という流れと、「携帯電話の回線容量が足りない、だから代替回線を」という発想は、大きく異なります。後者と同じ目線で電力問題を考えた場合、「電気が足りない、だから代替エネルギーを」という考え方がもっと強くても良いのかな、と思います。確かに新代替エネルギーのインフラ整備には膨大なコストや一定の時間がかかるのはよく分かりますが、「ガスを活用して○○」といった具合に、既存の代替エネルギーとの相互連環をもっと模索してみるのも意義があるように思えるのです。携帯キャリアによるトラフィック問題の解決策は、上記のとおり、目下の対応としては迂回路を活用する、そして膨大な費用をかけてでも、4G回線の増強にいち早く着手しようと各社しのぎを削っている。このような状況があります。さらに、ひとつの通信網にアクセスを集中させない「データオフロード」対策も今後の課題として活発な取り組みがなされています。踏み込んで言えば、携帯電話各社のスピード感のある危機対応は、「供給者の使命」といえる意気込みが感じられます。一方で、某電力会社にはそのような使命感こそあるのでしょうが、あまり具体的に伝わってきません。
電力問題と携帯電話のトラフィック問題、何故このようにトーンが違うのでしょうか。理由は2つだと思います。一つは、電力会社の単一性による競争意識の欠如でしょう。携帯電話事業大手3社は熾烈にシェア争いを続けています。通信制限をしようものなら、ユーザーからの信用を失い、シェアを失う。「接続率と通信速度」双方向の切磋琢磨が不可欠です。電力会社をみても、なんだかんだ言っても、市場の独占は消費者にとっていいこと無いと思います。
もう一つには、これは反対される方もいるかもしれませんが、携帯電話の必需性の故かな、と思います。電気は当然、現在の私たちの生活に欠かせないものなのですが、なんとも曖昧な部分がありますよね。一方で、携帯電話ははっきりとした必需品となりました。震災を経験し、情報端末の重要性を益々認識しました。ソフトバンクの孫社長も、先日プラチナバンドの割り当てを受けた際の記者会見で、「『どこでもつながるソフトバンク』となることで、東日本大震災で実感した『情報=ライフライン』という通信事業者としての使命を果たしたい」と話していましたが、まさに多くの人にとって、情報端末こそがまず最初のライフラインということを実感しています。
このような、携帯電話がつながらない、通信速度が遅いといった状況は、電力不足で節電を余儀なくされている状況よりも、多くの人にとって耐えがたい状況になる可能性が高いということでしょう。まあ、携帯電話も電気で動いている訳で、電気か情報か、という二択になると電気の勝ち、といえるのですが、そこは一旦置いておいての議論です。
そのようなことを考える一方、携帯電話の普及は環境問題と密接に関わっているということも、付け加えておきたいと思います。買い換え頻度が非常に多い携帯電話、使用済み携帯電話の数は増加する一方で、簡単に廃棄されるケースも多く、その中でレアメタルの金属採掘による環境破壊が懸念されています。携帯電話のリサイクル政策も行き詰まりをみせている、との声も聞かれます。
代替エネルギー、代替チャネル、代替手法、といった仕組みの転換は、エンドユーザーの大きな声の結果であるということで、よりよい世界へのパラダイム・シフトは、供給側とエンドユーザーとのコミュニケーションによって達成されていくのでしょうが、それに伴う環境破壊といった副次的な歪みを公共がしっかりと制御していくということ、これが大事なのでしょう。
以上、不動産とは全く関係の無いブログとなりました。ご容赦下さい。
ちなみに私はauユーザーですのであしからず。
当社代表取締役 磯部裕幸が、RICS UKの発行するMODUSマガジン、2014年12月...
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