日本ヴァリュアーズ・名古屋本社の関野です。
今回はメガソーラーについて思うところを書きこんでみました。
■ メガソーラーへの動き
2011年11月にソフトバンクがメガソーラー設置に向け、10数カ所以上で事前申請をしている旨報道があったほか、2012年4月には「メガソーラー投資拡大 ファンドで資金、オリックス、300億円規模 東京海上系、10カ所建設」と報道されました。
オリックスが300億円規模の投資ファンドをつくり建設資金を集めるほか、投資信託の運用会社や風力発電大手も同様な資金集めを検討するとのことです。
いよいよというか、やはりというか、官ではなく民による動きが具体化してきたようです。
■ 投資リスクの説明・可視化
投資ファンドとして資金を募るためには、リスクの説明が必要です。不動産鑑定評価で言えば、収益価格の側面から、予測発電量、電力の売価、修繕費、CAPEX、投資利回りはどう考えるべきか、また、積算価格ではいえば経済的残存耐用年数はどう考えるか等々です。
特に予測発電量は天候に大きく左右される点は否めず、どうしても不確実性が高いのではないかと思ってしまいます。気象予報士がファンド組成に係わることもあり得ます。
一方で、原発が再稼働し難い故に期待されるエネルギーであるため、国が支援や各種制度の整備を行なっています。
そんな中、経済産業省「調達価格等算定委員会」では2012年度の売電単価は太陽光発電42円/kw、買取期間は住宅用10年、非住宅用20年と最終案がまとまったほか、補助金制度の確立等整備体系のアウトラインが見えてきました。
ただ、売電単価を決めるに当たって採算性の根拠となった収集データについては外部から詳細に把握できません。
また、本来売電単価は需給関係により決定するべきものであるため、今後もこの単価が継続するか否かは分からないと思います。
■ 建設する場所の確保
例えば中部電力管内で現存するメガソーラーは内陸地で1.8万㎡(長野県飯田市)、埋立地で14万㎡(愛知県武豊町)と広大な土地を必要とします。多分、この程度は無いと事業として成立せず、投資としても採算が取れないのかもしれません。
しかし、海浜は津波リスクがあり、原発の代替エネルギーという役目を果たせません。しからば、内陸で…ということになりますと、同規模の土地を仕入れることは困難であり、これ程の広大地でかつ平坦地となると場所も限られ初期投資が嵩みます。投資リスクが不透明な中で、初期投資は避けたいはずです。必然的に賃借せざるを得ないと思います。
■ やはり国や自治体の強烈な後押しが必要か!?
(データの開示)
メガソーラーの評価に際し、投資リスクの重要な説明材料となる不動産鑑定評価書を作成するには不動産鑑定業界も研究を進めなければなりません。そのためにはメガソーラーに関する運営収益、運営費用のほか、再調達原価や維持管理費等についてのデータを収集、整備する必要があります。
しかし、実績値を持っているのは電力業界や既に運営している企業及び公共団体なので、これらを開示してもらえるよう国が促してもらえれば…と願っています。
(土地の提供)
一番活用できそうなのは休耕田や過疎地、耕作放棄地のほか、地方自治体が売却できず余している工業団地等です。農地については農業水産省との調整はあるでしょうが、これらを敷地として提供できないものでしょうか。この他、荒れた山林なんかも活用できたらとも思います。
以上、素人考えの域を出られてはいませんが、メガソーラーファンドが投資採算物件となって、国を救い、投資家にもリターンがあるというスタイルを是非確立できるよう期待しています。
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