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山林の状況と環境税

有限会社水野不動産鑑定所の水野です

今回は岐阜からお送りいたします。

 

私の住む岐阜県は日本のほぼ真ん中に位置しており、森林面積は866,000ha(全国第5)であり、県土面積の82%(全国第2)が森林である全国でも有数の森林県です。

その広大で豊かな森から水が生まれ、飲料水、農・産業用の水として利用され、そもそもの森によって二酸化炭素を吸収・固定し、地球温暖化に役立っています。

しかしながら、近年では木材価格の低迷により、林業従事者の減少を招き、間伐等の森林のケアが難しくなったことで森林の荒廃が進んでいます。また、生活様式の変化に伴い、薪・炭が不要となったことから、里山の手入れをしなくなり、土砂災害や農作物等への鳥獣被害につながっていると言われています。つまり、山林を中心とした数多の需要の低迷により、自然環境、生活環境が脅かされているわけです。

岐阜県内の山林価格の推移を見ると(地価調査ポイントにおいて、直近10年を捕捉できる7ポイントより)、山林価格は直近の10年で平均48%程度下落しており、山林の利用減退における需要及び価格の下落は顕著です。

 

近年、国内の気候は以前と異なり、異常とも言える大雨、スコールにより日本各地で土砂災害等の自然災害が発生しています。岐阜県内においても例外ではなく、河川の氾濫や土砂の流出における道路の陥没、埋没等が起きており、県民の生活が脅かされています。

土砂崩れ.JPG

【県内で起きた土砂崩れの様子】

 

また、本年に岐阜県で行われる国体が、「清流国体」と銘打つ通り、多くの清流を持つ岐阜県ではあるものの、県内の河川においてゴミ等の増加により、水質の低下等をもたらしています。

これらの自然環境を保つため、岐阜県では、201241日より「清流の国ぎふ森林・環境税条例」が施行されました。

ミナモ.jpg

【「ぎふ清流国体」のマスコットキャラクター「ミナモ」】

 

つい先日までこのような税があることも知らなかったのは残念なところですが、この森林・環境税は、5年間60億円の予算の下、各期12億円の支出に対応して徴収されており、個人からは年間1,000円、法人からは年間2,000円~80,000円を県・市民税とともに支払う仕組みとなっています。

一般的に環境税といえば、環境に負荷をかける物質を課税標準とするため、汚染者負担といった意味合いのものが多いですが、当該森林・環境税は環境と県民との共存が目的であるため、県民全員が負担する仕組みです。

 

2012/7/20現在において既に以下の事業が徐々に進められております。

1. 平成24年度里地生態系保全支援事業(団体支援)の選定

2. 平成24年度環境保全モデル林の選定

3. 平成24年度市町村提案事業及び地域活動支援事業

4. 平成24年度エコツーリズム促進事業(団体等支援)

5. 「河川魚道の機能回復事業」魚道点検の開始

 

このうちの一部を紹介すると、

2. に関しては、里山再生を目標に、モデル林及びプレイヤーを選定し、4年後を目途に当該モデル林の自立経営が可能となるよう、整備・活用計画を検討するとのこと。

岐阜県の多くの地域において、既存の林業経営は採算が合わず、里山林が放置されている現状を鑑みると、里山と人との共存を目的として里山再生する手法を模索する取り組みは、将来の土砂災害の危険等を減らし、里山の有効活用、雇用拡大にもつながります。

5. に関しては、県管理河川の魚道について、魚類などの遡上・降下環境を確保する「河川魚道の機能回復事業」の一環として、県管理河川に設置された530箇所の魚道について、その機能を簡便に評価する「清流の国ぎふ・魚道カルテ」を用いた魚道点検を実施するとのこと。

洪水等により土砂の堆積、破損している魚道を点検し、鮎等の魚の遡上・降下環境を保全することは多様な生物を育み、生態系保全において大きな意味を持つほか、河川を観光資源として整備することも可能になるのではないでしょうか。

ただし、素人目から見ると、場当たり的な対策にしかならないような事業とも取れるものや、5年間という期限付きでは無く、長期間、ある程度の費用をかけて成熟させるべき事業が存在するのも事実です。

 

税金を支払う県民としては、山林を中心とした自然と共存することで、岡山県真庭市のバイオマスのように、地域の活性化や循環型社会に繋がるような事業を見出し、山林の価値が見直され、広大な山林と県民とがWinWinの関係になることを望んでいます。

個人的には不動産鑑定士として、胸を張って山林の価格を前年価格から引き上げる判断ができる日が来ることを期待したいと思います。

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