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戸建住宅と環境⑤

「戸建住宅と環境」というテーマで、第5回は中澤がお届けいたします。
今回は自分を題材にしまして、「エコ需要」の心理的側面を掘り下げてみたいと
思います。
世の中がエコ、エコとなりまして、私、個人的には結構肩身の狭い思いをしてお
ります。というのも、地元が昨今話題の○×ダムのさらに上流にあり、恵まれた自
然環境のもとで生まれ育ったものですから、水・空気は美味いし、緑は豊か。さ
らに公共では温泉資源を利用して、熱交換による温水供給システムがほぼ全世帯
整備されているなど、今思えば大変恵まれた環境がごく身近に存在しておりまし
て、これが一方で無意識なノン・エコ生活をあるがままに過ごしていたため、エ
コエコ文化に無関心を呼び起こす結果となってしまっているのです。
とりわけ水については、「下々の」人々が再利用するのだから、という理由で相
当無駄遣いをしてきました。東京暮らしが長くなった今でも、(当然水光熱費は
多少気にはなりますが、、)大げさなほどに天然資源の大量消費を止めることが
できません。こんな私でさえ、ここのところ、「肩身が狭い」意識が浸透してき
ているのですから、エコに対する善というものが、徐々にではありますが確実に
芽生え始めているのだと思います。これって何でなんだろ?と自問してみます
と、少なくとも私の場合エコポイントや水光熱費の削減などのインセンティブが
一義的に重要ではないことは明らかなのです。
三菱総研とアサツーディ・ケイによる生活者の環境意識調査である「エコダス」
調査によれば、1998年調査と2009年調査の比較において、この10年間で生活者の
エコ行動は、地球環境の配慮に加え、無駄な消費を抑える「実利志向」が強まっ
ていることが明らかになったとされています。2009年調査では地球環境と家計節
約を両立させる「一挙両得型エコ」("エコ第2世代"、"2009年型エコロジアン"と
呼ぶそうです)が生活者の38.3%を占め、生活者のメインストリームになっている
とのことです。このほかエコ意識は高いがエコ行動面は弱く、理念先行型とされ
る「環境タイプ」の生活者が12%、エコ意識は低いが実利が伴うエコ行動には参
画するとされる「実利タイプ」が26.6%、そしてエコ意識が低く、エコ行動も
行っていない層である「無関心タイプ」が 23%となっています。このような分類
をされてしまうと、私の場合未だに「無関心タイプ」に位置づける以外にないの
ですが、一方自身のエコ化の矛先はこれらの他のタイプへと向かうとは考えられ
ず、理念でもなく、実利でもなく、でも漠然たるこのエコ意識の芽生えって、
いったい何?となってしまいます。
私を含めた「無関心タイプ」の中に、私と同様の思いを抱かれる方はきっといる
のではないでしょうか。つまり環境に対するそれほど崇高な理念があるわけでも
なく、翻って実利的なインセンティブにさほどの魅力を感じるわけでもなく、で
も何だかエコに対する価値観が高まりつつある自分を認識せざるを得ない無関心
者層の存在。エコダス調査による無関心タイプが全体の23%ですから、私たちが
生活を通じてエコ行動をとるインパクトって、きっとCO2削減にも大きく寄与す
るに違いないと思うのです。こんな私のエコ動機って、いったい何なんでしょう
か。この問いに対する私の答えは、エコ商品のクオリティの訴求力や、ブランド
力、ファッション性なんだと思います。一過性のエコブームと言う人もいます
が、日々これほどまでにメディアを通してエコ賛美が行われている中で、刷り込
み要素は非常に大きく、現在の世界的潮流をみても一過性のあるムーブメントで
はなく、中長期的な目線においてもエコは重要なプライスファクターで有り続け
るものと思います。
さて本題の戸建住宅ですが、多くの人々にとって人生で最も大きな買物のひとつ
でありまして、また日々の営みのある空間としてのマイホームに、生活のクオリ
ティへの要求はもちろんのこと、所有物に対するブランド価値やファッションと
しての付加価値を求める視点は当然に存在しますし、私自身のエコに対する選好
性はこれらの要因によるものに違いないのです。シックハウスの問題や、外断熱
工法の採用にしても、ユーザーの居住の快適性のニーズに真正面から応えるもの
ですし、デザインやファッションとしてのエコは、ソフト・ハードを問わず浸透
してきています。温暖化問題や異常気象等に関連し、CO2の削減を自らに課す理
念であるとか、エコ行動の生み出す実利的価値、インセンティブは、ともに副次
的には無視できないものではありますが、とりわけ今日のエコ無関心者層の中に
は、私と同様にエコ商品のクオリティ、ブランド力、ファッション性に付加価値
を見いだして、意志決定に大きな影響を与えるケースが増えてきているのではな
いでしょうか。言い換えれば、定性的な項目としての「エコ」が戸建住宅の価格
形成要因として機能するはずで、但しここには定量化の可能な各種エコ・インセ
ンティブや諸規制の影響とは異なった次元において、エコの付加価値がきっと存
在するのでしょう。
「エコダス」調査に倣えば、私のような無関心タイプの中から「エコ第3世代」
が生まれるキーは、ここにあるように思います。

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