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新旧Sクラスビル内覧

日本ヴァリュアーズ・東京本社の水口です。

 

今回は久々に東京からです。

 

今年に入り、Sクラスビルの鑑定評価を二件担当しました。

今回は、その二つのビルを内覧した際に思ったことを中心に書きたいと思います。

その二つのビルとは、昭和50年代に竣工したビル(Cビル)と、竣工後2年弱の新しいビル(Nビル)です。

 

Cビルは都心に位置する高層大規模ビルです。築年数は30年以上経過していますが、立地条件が良好なこともあり、未だに高い競争力を維持しています。しかしながら、やはり設備については老朽化の見られる部分があり、また陳腐化も見られます。

空室の専有部を内覧した際、「蛍光灯は全てHf蛍光灯に切り替わっています。今までより省エネが実現されています」と説明を受けました。Hf蛍光灯とは、いわゆるインバーター型蛍光灯です。点灯時に安定器、点灯管が不要で、インバーターを内蔵することで高効率化し、消費電力が抑えられるそうです。

恐らく、Cビルも新築時にはその時点で最も省エネタイプの蛍光灯が設置されたのだと思います。それから年月が経過して、今では更なる省エネが可能な蛍光灯が出てきたということかと思います。

エレベーター機械室も内覧しました。既に築後30年以上が経過していることから、エレベーター制御機械がリニューアルされている箇所がありました。ここでも「インバーター制御方式の最新の機器に入れ替えており、その結果、消費電力が抑えられて維持費も軽減され、省エネ効果の高いエレベーターになりました」と説明を受けました。

地下の電気室も内覧しました。ここではリレー盤等のデジタル化で省エネ・省スペース化が実現しているという説明を受けました。省エネのみならず省スペース、何とも良いこと尽くめです。

 

Cビルは築後30年以上が経過していることから、あらゆる設備の更新が必要な時期に入っています。従って更新費用が嵩む部分はあるものの、更新により築年数の経過という競争力低下要素を最小限に食い止めることが出来ます。しかも更新に際しては以前の設備が最新の優れた設備に交換される訳ですから、場合によっては競争力がアップすることも考えられます。

Cビルの内覧が終わった後には「ビルは例え古くても設備等の交換で競争力は維持が可能。躯体の耐用年数はもともと長いので、その耐用年数まで設備等のリニューアルを繰り返しながら使っていけば、建て替えまでのサイクルも長くなり、環境にも良い。ビルが多少古いからと言って、鑑定評価においても必要以上にネガティブに考えることは無い。」と思いました。

 

そして今月に入り、今度はNビルの鑑定評価に際し、内覧調査を行いました。こちらは駅距離等の立地条件面で若干競争力が劣る部分はあるのですが、築浅で規模・グレード等も優れるため、トータル的な競争力は高く、ほぼ満室の稼働を実現しています。

Nビルはどの設備を取って見ても最新です。Cビルで最近更新されたような最新設備が当然のように配置され、まるで「澄ました顔して並んでいる」と言った印象でした。Hf蛍光灯は当然のように設置されています。そもそも天井の作りが違います。グリッドシステム天井となっており、また照明・空調は非常に小さいエリア単位で制御可能な設計となっています。エレベーターも当然のように全て最新式でした。

その他でもOAフロアが装備され、貸室部分は無柱空間であり天井も2,800mmと高いです。セキュリティシステムも万全です。

Nビルの内覧が終わった後には、Cビルの内覧直後とは違う思いがあったのが正直なところです。それは「やっぱり新しいものは良いし、新しいビルは全てが最新でバランスも良い。古いビルをリニューアルするにも限界はあるので、新しいビルには正直勝てない…。新築ビルと築年数の経過したビルを比較して、両者の鑑定評価額の差をどのように理論的に考えるべきかは、とても悩ましく、難しい。」というものでした。

 

日本人は新し物好きと言われています。木造住宅を例に取ると、物理的な躯体の耐用年数は材質、構法等の違いによって大きく異なりますが、長ければ50年、100年と言ったレベルです。それにも関わらず、30年以内で建て替えてしまう場合が多いです。鑑定評価上の経済的耐用年数も30年程度で見ている現状があります。

しかしながら、昨今はエコブームということもあり、「100年住宅」等の長寿命を謳い文句にした戸建住宅や、スケルトンインフィル(略してSI)を採用したマンションなどが多く見られるようになってきました。SI住宅であれば、設備の入替だけでなく、間取り変更も比較的容易に出来ます。躯体さえ使用に耐えられれば、その間はリニューアルを繰り返し、さほど競争力を損なわずに継続利用することが可能でしょう。また長寿命化により建て替えまでのサイクルが長くなり、環境にプラスの影響をもたらすでしょう。

 

話は全く変わりますが…(また極めて個人的な話ですが)、私は車好きと呼ばれる部類に入ります。若い頃は(まだ十分若いつもりでいますが…)車をいじっては走りに出かけていました。今ではすっかりおとなしくなってしまいましたが…。しかも諸事情から車を手放して二年程度が経っています。ところがもうすぐ二人目の子供が産まれるということもあり、また車を購入することになりました。

車種について色々検討した結果、自分好みの上で家族にも受け入れられそうな車が絞られてきました。勿論、走行性能は重視です。格好も重視です。その中のナンバーワン候補車は、同じようなスペックの他車よりも安いのですが、残念ながらエンジンが最新ではなく(直噴エンジンではなくターボもない)、燃費が良くありません。今後、最新のエンジンに載せ替えたモデルが発売されるという噂はありますが、時期も含めて不確定な情報です。しかしエンジン(燃費)以外の部分はほぼ全て気に入りました。今も悩んでいる最中で結論が出せていない状況ですが、そんなときに思ったのが「とりあえずその車をすぐ買ってしまって、数年経った後に燃費の良いエンジンに載せ替えることが出来たら良いのに…」と言うものです。それが容易に出来るのであれば、今すぐにでも買いに行きたい気分です。

ただ残念ながら、実際にはそう簡単にエンジンの載せ替えは出来ませんし、出来たところで費用が嵩んでしまうことは目に見えています。SI住宅のような考え方は車には通用しないのでしょう。さすがに住宅と車では耐用年数が違い過ぎますし、対象物全体に占める設備の割合も大きく異なるので。

一方、住宅やオフィスなどの建物は耐用年数が長くより高額な資産であるため、リニューアルしながら長く使っていくのがトータル的にもコストダウンになるということで「長く大事に使う」というインセンティブが働きやすいと思います。結果的にそれが環境にもプラスになることから、新し物好きな日本人も徐々に環境を優先して「長く大事に」といった行動に向かっていくものと考えられます。

 

すっかり脱線してしまいましたが結局のところ、「省エネ」や「最新」などと言う言葉に翻弄されて常に新しいものを求めても、それまでに生産されたものは残ります。スクラップするにしても、形を変えて残ることには変わりありません。確かにNビルのような新しいビルに入居すると、当面は気持ちが良いかも知れません。しかしいずれはNビルも古くなっていきます。Cビルのように、適切な時期にリニューアルをしっかり行うことにより、その気持ち良さを維持しつつ、建物を長く使っていくことが、トータル的にはプラスになるはずです。勿論、環境にも。Cビルの内覧で、それを教わった気がします。

鑑定評価においてはこの辺を主観的ではなく客観的に捉え、鑑定評価額に適切に反映させていかなければなりません。そのためには、世の中の流れ、世論、消費者のマインド、トレンドなども常に把握しておくことが我々不動産鑑定士には必要なのだと思います。

 

長くなりましたが、今回はこの辺で。

車は…まだ暫く悩んでみようと思います。

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