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コラム「コロナ禍における宿泊稼働率の二極化について」

宿泊業は、コロナ禍にあって特に打撃を受けた産業の一つだと思います。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2020年7月における全国の客室稼働率は30.4%で、前年同月比では-52%でした。4月の16.3%と比べると、およそ2倍程度まで回復していますが、依然として持ち直しの動きは鈍いものとなっています。

新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない今の状況下において、外出の自粛が余儀なくされる中、宿泊施設の稼働率激減は当然の結果であるようにも思えますが、一方で、コロナ禍のもとでも、夏以降は前年並み、またはそれ以上の稼働率を維持している宿泊施設も少なくないという事実があります。東海地方のとある高級温泉旅館は、それまで県外からの宿泊需要が主でしたが、昨今は、近隣住民による旺盛な宿泊需要の受け皿となっています。Go To Travelキャンペーンによる宿泊需要喚起も大いに寄与しておりますが、同時にこのケースは、いわゆるマイクロツーリズムの成功事例であると考えられます。マイクロツーリズムとは、自宅から1時間程度の移動圏内で観光する近距離旅行形態のことを指し、特に、公共交通機関の利用を避けた自家用車による移動を中心とした旅行です。地域の魅力の再発見及び、地域経済への貢献を目的としており、ターゲットは、俗に言う「地元民」となります。故に、景色等の物珍しさには依存しがたく、彼らを迎える宿泊施設側は、通常の遠方客がその場所に赴く事によって得る満足感以上のもてなしを提供する必要があります。この場合に問われるのは宿泊施設そのものの価値であり、この部分において、現在の宿泊業界では淘汰とも言えるような稼働率の二極化が進んでいるのだと考えられます。新型コロナウイルスの感染収束までは厳しい状況が続きそうですが、同時にその間は、これまで遠方に流れていた宿泊需要を地元へ呼び戻すチャンスと捉え、宿泊業における新たな発展を期待します。(祐紀)

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