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コラム「ミャンマー…2021年2月1日から」磯部裕幸

21日の朝、ヤンゴンのスタッフから知らせが届いた。現地の夜明け前だ。その後、ミャ ンマーの状況は多くの報道を通じて世界中から注視されることとなった。 以前何度かお伝えしたが、2012年に初めて訪れた際に将来性を肌で直感し、 その後2016年春にヤンゴン に小さな評価会社を設立して以来、 この国における、 ある種未知の分野である資産評価という領域で活動を重ねてきたところだ。コロナ禍で個人的に1年近く現地を離れることに なってしまったし、現地スタッフ逹もロックダウンなど厳しい制約下に置かれてきたのだ が、幸運なことに、業務はかろうじて継続出来ていた。

2020年の世界の平均GDP成長率(推定)は▲4.3%と、1930年代の大恐慌以来と言われるほど最悪の不況に直面した中で、ミャンマーは+l. 7%と報告されていたし、2021年は+ 2.0%2022年は十8.0%になると予想されていた(「世界経済見通し・20211月版」、世界銀行)。 201910月から20209月における洵外からの直接投資額も、当初目標を1億ドル下回ったとはいえ57億ドルに達していた。

途上国における経済発展の推進力は一般的に悔外からの投資に大きく依存するが、シンガポール、中国、日本、香港などに加え、欧米を含む数多くのグローバル企業のミャンマー進出の背景として、2011年以降の民主化の流れと2016年の国民民主連盟(NLD)による半世紀ぶりの文民政権誕生があったことは、疑う余地のないところだ。また、昨年1I月の総選挙も無事終わり、コロナ後の一層の経済発展が確実視されていたのだった。

そうした中、21日以降状況は一変した。日系企業などからは、今回の事態が不動産価格に与える影響についてお問い合わせを頂くことになった。当面の不安定情勢下で、すでに投資した案件の質産価値がどの程度下落するのか、検討中だったプロジェクトの採算性がどの程度悪化するのか、現地での合併事業を仮に解消することになった場合の資産評価をどう考えるべきか、といった後ろ向きの観点だ。

この1カ月間経済活動が事実上ストップし、不動産市場もほぼ停止状態だ。そうでなくても、コロナ禍で不動産ビジネスは甚大な影響を受けてきた。ハイエンドなレジデンシャルや、オフィス、リテール、ホスピタリティ、工場・倉庫用土地などは、今回の政治状況で、コロナ後のV字回復期待が大きく削がれてしまうのではないか、ということは誰しもが抱く不安だろう。経済発展の原動力となってきた海外からの直接投資が急減し、成長が停滞することになるとすれば、アジアのラスト・リゾートとして世界中から期待されていた経済発展や国民生活の底上げが一気に停滞してしまうことにもなりかねないからだ。

不動産の価値は、自然的・社会的・経済的・行政的要因を説明変数とする関数で形成されるものだと教わってきたが、大きくプレることはない、と暗黙の内にわれわれが想定していた「政治状況」という要因を最大級の変数としてカウントしなければならなくなる、という事態が、ミャンマーで今まさに起きているのだ。

 

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