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コラム「自然資本(Natural Capital)」

近年、環境問題の深刻化に伴い、「自然資本」という概念が広まりつつあります。「自然資本」とは、これまで当然のように享受してきた自然からの恩恵を、社会経済を支える資本の一つとして捉え直そうという考え方です。

自然環境は、長らくその価値が適切に評価されず、企業の事業活動にとって無料または安価に使える資源として過剰に利用されてきました。しかしながら、自然は再生可能なものが多いですが、いずれも有限です。「自然資本」が生み出す以上の自然資源を利用すれば、当然ながら「自然資本」は減少してしまいます。過度な乱獲による生物種の絶滅や、無秩序な搾取による森林破壊、CO2の大量排出による温暖化などがその典型例です。

「自然資本」の損失を食い止め、事業の持続可能性を高めるには、事業がどれだけの「自然資本」を利用しているのか、また、「自然資本」が自社の活動にどれほどの恵みを与えているのかを、適切に把握する必要があります。そのうえで、事業活動による「自然資本」への影響が「赤字」にならないよう、持続可能な資源利用に取り組まなければいけません。しかしながら、自然の恵みを一つの指標に定量化することは難しく、可視化しがたいというのが現状です。

世界では「自然資本」を必要不可欠な資産と捉え、「自然資本」分野へ投資する動きが始まっています。我が国においても、三井住友信託銀行が「森林信託」という商品を開発し、信託スキームを用いて岡山県内にある約10haの森林育成をサポートしています。

水、土壌、大気、森林、多様な生物等は、私たちの生命活動を維持する基盤であり、「自然資本」がなければ、そもそも社会経済は成り立ちません。「自然資本」への投資拡大により、不動産鑑定が自然保護の一翼を担う日もいずれ来るのではないかと、ひそかに期待しています。(祐紀)

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