03-3556-1702(東京)
052-950-2771(名古屋)

コラム「アメリカのカウンター・カルチャーは都市力の源泉か」

「アメリカのカウンター・カルチャーは都市力の源泉か」

不動産鑑定士 磯部裕幸, CRE, FRICS

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役

 

時間にゆとりのある時を見つけては著名な識者の講演を聞くという、今年は秋の夜長を少し文化的に?過ごすことにしてみた。そんな中「国の成熟度」というような話を聞く機会があった。成熟度の高い国は度量が豊かで多様な意見の発信機会が基本的に保証されているのに対し、成熟度の低い国では自由度は相対的に限定的だと。

アメリカにおいてカウンター・カルチャーが昔も今も盛んなのは、そうしたハバの広さと奥行の深さ故なのだと。時の権力者を悪役として描くハリウッド映画が大手を振って製作上映され、その多くは大ヒットする。innovativeな企業や文化がいつの時代にも数多くアメリカから生まれるのは、発想の自由さが許されるそのような土壌に起因しているとも言えるが、翻って日本にそこまでの奔放さが許される土壌は定着しているのだろうか?言わずもがなだが、アジアの他の大国において個はどこまで尊重されているのだろうか?圧倒的な情報管理社会であることを最大限割り引いたとしても、やはり旺盛なクリエイティビティをアメリカでは随所に見ることができるのだ。

都市や地域のアイデンティティ・競争力についても、アメリカでは日本におけるピラミッド構造は通用しない。10月後半にノースキャロライナ州のシャーロット市を訪れる機会があり、そのことをリアルに体験した。

Bank of Americaが本社を置き、Wells Fargo グループ傘下Wachoviaの本拠地でもある、米国二番目の金融センターだとはまったく知らなかった。紛れもなく米国南東部経済のハブの一つだという。人口約81万、全米17番目の中規模都市なのだが、ダウンタウンも端から端まで歩いて20分ほど。朝には徒歩やバイク通勤のビジネスマンが中心部に列をなして向かうという、のどかな町なのだ。しかし1990年の人口は40万人以下で33位だったことを考えると、その成長ぶりには驚かされる。日本の都市で言えばもっとも小さな政令指定都市クラスになるだろうか。全米平均を下回る生活費指数と高い教育水準、豊かな自然と主要都市へのアクセスの良さなどの特色があるとはいえ、外から訪れた身には何の変哲もない町として映るのだが、グローバル企業の進出は過去10年で約1.5倍、Huffington Postでは「注目を続けるトップ5都市」に選ばれてもいる。この町は自らの戦略とアイデンティティで成長軌道を辿りつつあるのだ。

一般的な不動産言語で言えばSecond Tierという位置づけになるのだろうが、ポテンシャルのダイナミズムは主要都市を上回っているように思える。現に、全米の都市人口ランキング10位以内はデトロイトを除きほとんど入れ替わりがないのに対し、2013年の11位~20位の都市の半分は1990年には21位以下だったのだ。

日本への不動産投資に対するマインドが今までになく成熟しつつある今日、東京を中心としたポートフォリオのオマケのような扱いから脱皮し、日本の地方都市も独自色を本格的に打ち出すべき時期にきているのはないだろうか?

 

㈱不動産経済研究所「不動産経済ファンドレビュー(2015/11/15 No.376)」掲載記事

Related Posts

Sorry, the comment form is closed at this time.