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コラム【すぐそこまできた「これからの日本」】

不動産鑑定士 磯部裕幸, CRE, FRICS

日本ヴァリュアーズ株式会社 会長

 

2018年地価調査の結果で、全国の全用途平均が1991年以来27年ぶりに下落から上昇に転じたと報じられた。三大都市圏以外の地方圏でも地価の回復傾向が広がりつつあるとの明るいニュースだ。しかし、1982年を100とした全国全用途の地価公示推移を見る限り、1991年が208.7でバブル期ピークを示した後、約20年間延々と下落が続き、その後若干上向きになって2008年に102.1となるものの、リーマンショックで再び下落に転じ、昨今は大都市圏を中心に少し回復基調に転じて今日を迎えているが、それでも全国全用途で見れば対1982年比87.5、三大都市圏住宅地でようやく107.4までたどり着いたというレベルだ。現在の日本の地価は、実は35年以上前とほぼ同じところに居るのだ。名目GDPが282兆5,820億円(1982年)から、紆余曲折があったにせよ555兆6,074億円(2018年)とほぼ倍増しているにもかかわらずだ。

さて、日本の人口は2025年に1億2,250万人まで減少する。同時に65歳以上の人口は3,677万人に達し、国民の30%が高齢者という超高齢化社会になる。その後も人口は減少を続け、2043年頃には1億人を割り、2065年には8,800万人まで減少し、高齢者比率は38.4%に達して国民の約2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上という社会になっていく(平成29年版高齢社会白書-内閣府)。さらに人口は減少を続け、2115年頃には5,000万人程度になると予測されているのだ(国立社会保障・人口問題研究所、人口統計資料集<2018年版>)。

話は変わるが、バブル崩壊直後にバブル値段で売り出されたあるゾートマンションの大半の売れ残り部分が系列会社に損金処理で一括譲渡され、当初値段の25%程度で再販されたことがあったのだが、築25年以上経った現在の中古としての売り出し値段を調べてみると、25%だった再販価格の三分の一以下(当初値段の8%程度)になっていることがわかった。しかもリゾート物件は、地域によっては圧倒的な供給過剰の結果中古物件に値がつかないことさえあるのも周知の事実だ。にもかかわらず、交通利便性のよい一定のリゾート地にあっては、昨今新規供給が増加の一途をたどる。結果、既存物件の価格競争力はますます下がらざるを得なくなる。限られた需要に対する圧倒的供給過剰に伴うこうした市場崩壊敵現象は、しかしリゾート地だけの話で終わるのだろうか。

最近、話題作となっている「未来の年表-人口減少日本でこれから起きること」(河合雅司氏著)を読んだ。街をコンパクトに新しく作り替えていくにせよ、膨大な空家を再活用・解体していくにせよ、質量同時の成長パスをこれからの日本に期待していくことはもはやあり得ないだろう。市場規模縮小を前提にした質の確保と向上。少し先だと思っていた日本の新しい現実と課題はすぐそこまで忍び寄ってきているのだ。不動産業界は、人々に豊かな空間を提供するというその社会的役割を、今後どのように果たしていくことになるのであうか。

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