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シニアハウスブログ 第5回 「介護保険制度について」

日本ヴァリュアーズ東京本社の竹市です。 

今回はヘルスケア施設そのものではなく、介護業界及びヘルスケア施設の運営と深く結びついている介護保険制度についてお話します。 

 

介護保険制度は、高齢化が進む日本において、国民全員が所得水準に関わらず必要な介護・医療サービスを享受できるよう、2000年に制定された制度です。40歳以上になると、月々介護保険料が徴収され、これら保険料は国の基金にプールされます。そして65歳以上(もしくは40歳から64歳の間で、特定の疾病の場合)になると、各種介護・医療サービスに保険が適用されるようになり、加入者は費用の12(年金額等により変動)の負担となります。そして残りの89割の費用は、基金及び自治体からサービス事業者に支払われる仕組みとなっています。

 

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厚生労働省老健局総務課作成資料より

 

加入者が月々支払う保険料は、制度開始時の2000年から3年に一度、その時々の時勢に合わせ改正されることとなっています。2015年には消費税増税の影響が事業者負担とならないよう、改正が行われることとなっています。しかし、高齢化の急激な進展と共に、加入者の負担額が増加の一途を辿っており、制度開始時の2000年には全国平均で月額2,900円程度であったものが、20122014年の平均では月額5,000円近い額となっています。

 

一方、介護・医療サービスには多様な分類があり、監督する主体(国や都道府県、若しくは市町村)、サービス内容(介護給付若しくは介護予防)、サービスの種類(居宅系サービス、施設系サービス等)による分類がなされます。そして、それぞれのカテゴリでサービス事業者がサービスの提供を行っています。

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厚生労働省老健局総務課作成資料より

 

これらのサービスには、具体的なサービス内容及びサービスを受ける人の要介護度に応じ、発生する費用が予め定められています(ex. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(訪問看護サービスを行う場合、1カ月分)、要介護1の人は9,270単位)。ここで、「単位」とはサービスに応じた費用の単位で、基本的に1単位=10円換算となります。ただし、地域によって物価や人件費が異なるため、全国を7地域に分け、それぞれで1単位の円換算額が少しずつ異なります。したがって、要介護1の人が定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(訪問看護サービスを行う場合、1カ月分)というサービスを受ける場合に要する費用は、9,270単位×10円=92,700円となり、このうちの1(若しくは2)が加入者負担、残りが保険料からの負担となります。

 

昨今、ヘルスケア施設の証券化が俄かに注目を集めており、我々鑑定業界も証券化案件に携わる機会が急増してきているのですが、証券化の対象となる物件は、これまでのブログで登場した、介護付き有料老人ホーム若しくはサ高住がほぼ大半を占めます。サ高住については、介護サービスは各個人が必要に応じて受けるものであり、まだサ高住制度が開始されてから期間が短いことから、具体的にどの程度のサービスを利用しているかは不明瞭です。一方、有料老人ホームについては、月額包括算定方式と呼ばれ、基本的なサービスを定額で受領することとなっています(有料老人ホーム等の施設では、通常下記の基本サービス料のほか、家賃・食費・追加サービス料等が発生します)

 

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厚生労働省等公表資料より作成

 

これら介護報酬はサービス事業者の事業収入に直結してくる部分ですが、その時々の状況により変化するものであり、特に高齢化の急速な進展によって介護保険財政が厳しさを増す中、中長期的には減少する可能性も十分考えられます。また、年金額の低下は入居者の家賃・サービス料負担能力の低下に繋がります。このように、ヘルスケア施設の投資対象としての安定性を考えると、高齢者の増加に伴い需要が増加することは相当程度可能性が高いと思われ、通常の住宅以上に安定的なアセットとも言われますが、一方でそれを支える介護保険制度の変動リスクも十分な考慮・分析が必要です。その他、ヘルスケア施設はオペレーショナルアセットであることから、住宅にはないリスクが多数存します。現在では投資家や事業者、金融機関等の間でこれらリスクに対する目線についてスタンダードとなるものの確立までには至っていないことから、ヘルスケアREITの設立により、情報開示が待たれるところです。

 

 

 

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