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シニアハウスブログ 第7回「シニアハウス業界と某事業者の賃料、空室率」

日本ヴァリュアーズ東京本社の小川です。 

 

先日、週刊高齢者住宅新聞201486日第313号で、高齢者住宅・施設運営居室数ランキングが発表されました。同新聞の調査による業界ベスト500が掲載されていますが、ベスト10を抜粋すると以下の通りです。 

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「週刊高齢者住宅新聞201486日第313号」より抜粋

 

上記は介護付有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅(以下、サ高住)等を合わせ、その総居室数でランキングを作成したもので、売上高のランキングではありません。しかし、上位3社は、色々なランキングに常に顔を出してくる企業であり、このランキングは業界の位置づけを把握する参考になると言えましょう。 

また、上記ベスト10に入っていなくても、例えば11位にユニマットそよ風や、18位に学研ココファン等の有名企業が名を連ねていたりします。 

これらランキングに入るような企業は、多角化で事業を行っている大企業、元々介護事業者が大きくなった企業、医療系の事業者、不動産デベロッパー系企業等に分類されると思います。 

各事業者はそれぞれの強みを背景に差別化して運営しているようで、入居金や家賃の水準も各企業やブランドによって様々になっています。 

利用者にとってみれば、御自分の予算に応じて、企業ブランド、専有部分の広さや設備、また、職員一人当たりの要介護者数等のサービス面を検討し、場合によっては体験入所をして入居する施設を決めることになります。 

 

我々は不動産投資を前提としてシニアハウスを見てしまうので、その事業者のサービスというよりも、テナントクレジットや経営状態等が気になってしまいます。テナントクレジットはなかなか複雑な問題を含んでいて詳細は次回以降の課題としますが、例えば施設の稼働率は、数字を公表している事業者であればすぐに知ることができ、経営状態のヒントを掴む第一歩になるかと思われます。 

 

そこで某事業者が施設別に空室数を公表していたので、ちょっと集計してみました。以下は、東京都多摩地区の介護付有料老人ホームのデータになります。

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上記をご覧になっていかがでしょうか。 

私は思ったより稼働が良いなと感じました。上記は調査日時点での数字のため、日々変動する数字ではありますが、特にこの事業者は多摩地区の稼働が良いようです。同じ事業者で世田谷や杉並等の城南エリアの空室率は約8%、賃料平均は25.7万円、練馬、板橋等の城北エリアでの空室率は約5%、賃料平均は20.9万円となっています。 

この事業者の場合、なぜ多摩地区の稼働が良いのかは分かりませんが、空室率については各エリアごとに概ね3%10%程度という数字を得られ、都内全体の平均では約5%の空室率ということになりました。 

上記だけでは一概に言えませんが、介護付有料老人ホームについては、一般的な共同住宅の稼働よりも良いのではないかと推察することができます。また、介護保険との兼ね合いで、介護付有料老人ホームは施設の新設に対しては総量規制が掛かっているため、今後においては希少性の高いアセットになっていくのではないかと考えられます。

 

次に、同事業者のサ高住のデータを見てみましょう。エリアは同じく多摩地区です。

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この場合、サ高住の空室率は平均で6.7%と、介護付有料老人ホームに比べて3.2%程高くなっています。賃料については逆に、4.9万円程安くなっています。

要するに、賃料は安くなっても稼働は上がっていない状態と言えます。もちろん結論を出すにはあまりにもデータが少ないですが、ここではそんな傾向が見えました。

なお、上記データのうち東京都全体の集計では、平均空室率が10.8%、平均賃料は15.9万円という結果が得られました。こちらでは空室率がやや高くなっていますが、主に東京の下町エリアでの稼働が悪いようです。

 

介護付有料老人ホームとサ高住の稼働、賃料データを見てきましたが、一概に賃料が安いから稼働が上がるとは言えないようです。やはり介護される身になってみるとサービス体制・内容が充実していないと生活面で不安ですし、サ高住は割安と言え、一般的な賃貸住宅よりは高いですから、サービスと賃料との兼ね合いで、当初からサ高住へ入居を希望される高齢者の方は、まだそれほど多くない可能性があります。実情としては、要介護の状態ではあるものの、介護付有料老人ホームに入るほどの経済的余裕が無いため、サ高住に入居している方が多いという話を聞いたことがあります。

 

今後、高齢者の年金支給年齢が現在より高くなる可能性や、年金自体が減額される傾向にあり、その制度的要因により、投資対象として各シニアハウス間の位置付けも変化すると考えられます。よって、これらの動向を常に注視し、各施設のリスクプレミアムを継続して分析していかなければなりません。

 


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