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評価の国際基準の重要性がAPEC2014北京で

不動産鑑定士 磯部裕幸, CRE, FRICS

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役

 

1110-11日に北京で開催される第26APEC首脳会議は、日中首脳会談が実現するかどうかで事前に大きな関心を呼んでいたが、米国・中国・日本という世界の経済大国とASEAN10ヵ国を含む環太平洋21ヵ国で構成されるAPECは、人口で世界の40%GDP56%、貿易額では47%を占める巨大経済圏(経済産業省資料)であり、貿易・投資の自由化・円滑化、人材育成、技術協力などの分野でさまざまな取組が行われてきている。

 

ところで、111日から不動産鑑定評価基準が改定された。今回改定の柱の一つは「不動産市場の国際化への対応」だ。グローバル市場での適用が広範に進んできているIVS(国際評価基準)との整合性を図るため、Scope of Work概念を導入すると共に証券化対象不動産等における価格概念をMarket Valueとすることになった。

 

さて、1021日からIVSC(国際評価基準委員会)2014年年次総会がカナダのトロントで開催され、当委員会のCorporate Memberとして今年も参加してきた。総会の中で、IVS3年以内に採択するか適用する旨を宣言する、とした覚書がIVSC加盟18ヵ国の評価団体・IVSC間で締結されたが、そのうちAPEC加盟国の評価団体は10ヵ国に上った(米国、中国を含み,日本、韓国を除く)

 

一方、APEC Business Advisory Council(ABAC)10月に公表した「Report to APEC Economic Leaders」では、加盟政府当局に対しIVSCや各国評価団体と共に評価基準の高度化・統一化を推進していくことを要請し、信頼性ある資格者や持続的な評価団体の構築、教育・知識集約等の必要性等が謳われたが、それを受け、1022日に開催されたAPEC財務大臣会合の共同声明には、資本市場・中小企業ファイナンス・長期投資推進のための重要課題の一つとしての「sound valuation practices(健全な評価の実践)」に対するABACの提案を歓迎する、という文言が明記されたのだ。そうした動きは、果たして日本における評価領域にどのような影響をもたらしていくのだろうか。投資市場のグローバル化がインバウンド・アウトバウンド共に常識化してきた中で、今回不動産鑑定評価基準が改定されたのは極めてタイムリーだと言えるが、逆に言えば、評価実務自体の国際標準への適合化が日常的に必須になっていくということでもあるのだ。

ここで、1987年に制度化された外国法事務弁護士のことを思い出したら、それはいかにも唐突だろうか?2015年スタートのASEAN経済共同体では、サービス分野自由化の一環として、エンジニアリング・建築設計・測量・会計などの専門資格者の加盟国間での相互承認が始まっていること、APECでも建築構造やエンジニアリング分野での相互承認に基づいた登録制度が日本に既に存在していることなどを考えると、評価の世界に資格制度の国際化が及んでくるとしても不思議ではあるまい。私はそれをオポチュニティだと考えるが、それは少し身の程知らずだろうか

 

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