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「日本から」が再び

 

不動産鑑定士 磯部裕幸, CRE, FRICS

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役

 

  

 

 1115日から香港で開催されたMIPIMアジア(アジア太平洋地域国際不動産見本市)に参加してきた。私にとっては、アジア各国のRICS(英国王立チャータード・サベイヤーズ協会)のメンバーに会って彼らのパワーに身近に触れる秋の恒例イベントだ。東南アジアを中心に、今年もまた世界各国の官民デベロパー、コンサルタント、デザイナー、インベスター、ファンドなど約100社が出展しており、賑やかなトレード・ショーであった。

 

しかし、刻々と情勢の変化しているEU情勢が影響しているのか、改善の兆しがなかなか具体的に見えてこないアメリカ経済に対するフラストレーションのせいなのか、昨年までのように、各ブースでの活発な商談・意見交換や開発プロジェクトの大々的なプレゼンテーションなどで会場がごった返しているという雰囲気ではなかった。

そうした中、会場内ではRICSが四半期毎に公表しているGlobal Commercial Property Surveyの調査(各国の専門家に対して9月に実施したアンケート調査)結果の概要が発表された。グローバルには中国、香港、ブラジル、ロシアに関して、第34四半期に向かい弱含みになるものの賃料、価格共に上昇傾向が続くと予測され、ヨーロッパ諸国については、ドイツ、オーストリア、ポーランドなどで賃料上昇が予測された以外はマイナス成長との見方が大勢を占めた。アジアの中では、シンガポールとマレーシアが2011年後半に賃料が下落に転じる可能性が指摘され、インドについても保守的な予測であった。中国も、住宅価格下落傾向の増大や、ホテル稼働率や客室単価の下落傾向がその後発表されるなど、注意深いモニタリングが必要になってきていると言える。

 

日本については、賃料、価格共に3年ぶりにプラス予測との結果が公表されたのが際立っていた。日本からの情報発信が、「再び日本への投資に」といった趣旨のトーク・セッションや「震災後の投資環境再構築」という講演など、例年になく多かったことも会場内で日本の存在感を示すのに大いに貢献した。

将来性、成長性について多くの新興国、発展途上国に及ばないことは明らかだが、EU危機とアメリカの相対的な衰えの中で、日本の不動産市場が世界の中でも際立った安定性、成熟性を誇っているということが大いに示されただろうし、震災後の不動産投資市場の早期回復という点でも、安心感をもって受け止められたのではないだろうか。

 

一方、1116MIPIM会場内で、英国王立チャータード・サベイヤーズ協会と一般社団法人不動産証券化協会との間で提携推進に関する基本合意書の調印式が行われたことも、今年のMIPIMアジアにおいて日本のプレゼンスが高まることに一役買ったかもしれない。証券化協会認定マスター資格者に、世界で最大の不動産系団体であるRICS会員の称号-MRICS-が与えられる道を開くこの合意は、日本の不動産資格制度の歴史の中で初の出来事だが、成熟した日本と世界を繋げていくために、このエポックは是非大切に成長させていきたいものである。

 

 (株式会社不動産経済研究所「不動産経済ファンドレビュー」2011年12月5日No.238 掲載記事より)

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