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進む資産評価領域のグローバル化

不動産鑑定士 磯部裕幸, CRE, FRICS

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役

 

 

 2013年秋。日本は評価領域における会合ラッシュだった。

 9月半ば。米国Appraisal Institute(AI)次期会長Ken Wilson氏が来日し日本不動産鑑定士協会連合会(JAREA)との間で業務提携に向けた協議を開始することになった。折しもAIはその後、不動産評価のグローバル基準やグローバル資格団体創設を戦略として公表した。

 

 10月半ば。第一回日中韓鑑定評価協力会議が名古屋で開催され、中国、韓国からの80名を含む約300名が参加した。中長期にわたる人口動態や持続型経済の下での不動産市場や評価の方向性について、問題意識が完全に三国の専門家間で共有された。

 

 116日。第三回RICSアジア資産評価会議が東京で開催され(JAREAとの共催)、各国からの参加者を含め、約170名の盛況な終日コンファレンスとなった。統一的な評価基準の必要性とIVS(国際評価基準)RICSの役割が報告されたが、International Property Measurement Standards Coalition (IPMSC<国際不動産計測基準連合>20135月創設)の報告はグローバル化を側面から促進する活動として大いに注目された。IMF, FIABCI, IVSC, RICS, IFMA, FIG, APREA, BOMA, AI, CREを始め21団体が創設メンバーに名を連ねているが、計測方法の統一化は国際比較のためのまさに第一歩だからだ。日本側から、あるいは海外からの日本への熱い視線もテーマだった。底堅さを見せる先進国日本への敬意、景気好転による対日投資環境改善論に対し、海外からは中長期マクロを踏まえた慎重論も垣間見えた。いずれにしても、日本市場が海外で詳細に分析されていることは明らかだった。一方、日本の不動産鑑定評価基準がIVSとの整合性をより深化させるべく改訂されるとの報告は、海外参加者から大いに歓迎されたところでもあった。

 

 1179日。IVSC(国際評価基準審議会)年次総会が東京で開催され、世界約30ヶ国、約40の評価関連機関から約100名の専門家が参加した。IVSCは企業の国際化と共にIFRSに連動した資産評価基準を策定し、財務諸表に資産計上されるあらゆるアセットの評価専門家により構成されている。もともとは英米の不動産評価専門家団体により創設されたが、IVSCが現在カバーする評価対象は、不動産に加えて事業、無形資産、機械設備、金融商品など多岐にわたる。評価が多様な対象領域で必要になる中、監査人から独立した評価専門家による資産評価がIFRS上重要な役割を担うことになる。IVSCは、グローバルに適用可能な評価基準の策定と各国に対するIVS適用への啓蒙活動を行っているが、専門家の質の向上も大きなミッションの一つだ。不動産鑑定分野が先進国では長い歴史を持ち、総体として一定の質が維持されている反面、他の評価対象の歴史は相対的に浅く、質についてまだ発展途上のケースも多い。逆に途上国ではValuerのカバー領域としてProperty(不動産や動産機械設備など)Businessを一つの専門家団体が統轄していることが多く、そこでは今日のグローバルな評価トレンドが自明的に組み込まれている。

 

 さあ、日本における評価は、多分野によるCoalitionの道を歩んでいくのであろうか?

 

 

 

 

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