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ミャンマーのスピード・アメリカの底力

不動産鑑定士 磯部裕幸, CRE, FRICS

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役

今年は、前半にとても対称的な二つの国を訪れる機会を得た。 

世界最貧国の一つに数えられながら急速に発展を遂げつつあるミャンマーと、経済の回復傾向が続き、依然として世界の牽引役としてのポジションを堅持しているアメリカだ。 

発展速度の凄さに惹かれ、年に最低一度は訪れているミャンマーの首都ヤンゴンは、大規模都市開発の波がますます高まっていた。もちろん、都市計画のマスタープランに則った開発ではなく、旧態依然たる庶民の街の一角や政府の旧省庁跡地で突如大規模な面開発が始まり、それらが市内数カ所で複数同時進行している。オフィス、リテール、レジデンシャルいずれもだ。無秩序と混沌の中で、近代化に向けた新しい開発のうねりが躍動していると言えようか。2014GDP実質成長が8.3%(日本1.5%、米国2.2%)で中国の7.7%を上回っているとはいえ、一人当たりGDPUS$869(日本$38,491、米国$45,934、中国$6,959)。人口は5,000万人ながらGDP総額は日本の約1%に過ぎない国における不動産価格が、しかしながら東京のそれとそれほど変わらない水準なのだ。立地にも拠るが、新築Aクラスオフィスの月額募集賃料は\7,000\14,000/㎡。分譲中の新築マンション価格は、\300,000\600,000/㎡。外資系企業の進出ラッシュによる底堅い需要があることを考えれば、事務所賃料の水準にはある程度納得するのだが、筆者が把握したマンション開発だけでも最低2,000戸超が現在建設中で、庶民の平均的所得水準からは想像さえできない、こうした価格帯で売られているにもかかわらず、ヒアリングした限りでは売れ行きは好調で、購入者の多くは外人ではなくミャンマー国内の富裕層だという。キャピタルフローは、私の常識とは別次元のところで動いているようなのだ。 

ところで、アメリカには不動産カウンセラー協会(CRE)Mid Year Meeting出席のためデンバーを始めて訪れた。3Dプリンターが不動産ビジネスに及ぼす影響や、ドローンを活用した物的調査分析の精緻化などの講義はもちろんのこと、クロスボーダーの資本移転調査結果から、アメリカの健在ぶりを改めて再確認することができた。 

上位25の資本移転経路での総額は2014年約1,160億ドルで対前年比68%増。その内北米からの投資は約650億ドル(対前年比85%)で、2位アジア・パシフィック、3GCC(湾岸協力会議加盟6ヵ国)4EMEA(Europe, Middle East, Africa)を大きく引き離し、国別で見てもアメリカ発の投資は582億ドルで2位中国の3倍以上。日本発の投資額は6位だったが、中国、GCC、シンガポール、カナダには遠く及んでいない。一方投資対象国の首位はイギリス。アメリカ2位、オーストラリア3位、日本4位、中国5位と続く。アジアパシフィック・マネーと騒がれるが、実は、主役は依然として北米だったのだ。 

アジアのラスト・リゾート、ミャンマーにおける投資のダイナミズムしかり、台頭するChina Powerにびくともしていないアメリカの底力しかり。2015年のグローバルな不動産シーンからなかなか目を離すことができない。

 

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