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Royal Institution of Chartered Surveyors (RICS)  の紹介と日本における今後の展開②

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役・不動産鑑定士 磯部裕幸

CRE(米国)FRICS(英国)

(RICS Japanワーキング・グループ、メンバー) 

 

 

3.      多岐にわたるRICS会員の専門分野

 先に述べたとおり、RICSは不動産を中心としたあらゆる資産に関する専門家によって構成されている。少し分かりにくいのは、いわゆる公的な意味での専門「資格」をRICSが提供している訳ではないという点である。

私の分野である不動産鑑定を例にとると分かりやすいかもしれない。日本では報酬を得て不動産鑑定評価を行うためには不動産鑑定士の資格を有していることが法的な大前提である。不動産業もしかりである。宅建主任者という資格保有が、やはり法的に不可欠である。しかし、実際にはこれらサービスの提供を担保する「資格」がすべての国にあるとは限らない。英国はまさにその一例である。不動産鑑定士も宅建主任者も国家資格としては存在していないのだ。RICSにおけるChartered Surveyorの称号は、その意味では実体としては資格に替わる重みを持っており、それだけにRICS自体の責任も重いと言える。いずれにしても、RICS会員であることが専門職業家としての安心感やステータスとして社会に定着しているわけであり、そのことこそが、近年のグローバルな展開を可能にしている最大の理由なのだろう。資格の既に存在している国においてさえ急速な伸びを示しているのは、国内資格に加えてRICS会員になることに 高いインセンティブが働いているからである。

 さて、RICSには、3つのジャンル、17種類のプロフェッショナル・グループがある。chartered surveyorといっても、これらすべての分野はカバーできないわけであり、会員はsurveyorとして自分の専門グループに所属することになる。ちなみに、私はValuationグループに所属している。また、ジャンルごとに新しいテーマの下でフォーラムも設置されている。

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 ここで明らかなように、一つ一つの専門分野の狭いサービスだけを提供すれば足りるということではなく、各分野を取り巻く周辺領域すべてをカバーできることがsurveyorに対して想定されているということなのである。ちなみに、専門グループごとに異なる称号が発行されている(固有の称号を持たないグループもあるが)Arts & Antiquesは「Chartered Arts and Antiques Surveyor」。Environmentは「Environment Chartered Surveyor」。Building controlは「Chartered Building Control Surveyor」という具合である。

 RICSのことを、資産の「ゆりかごから墓場まで」すべてのフェーズにコミットできるプロフェッショナルの集合体だと称することがあるが、分野で言えば、土木・建築・都市計画・機械・農業・林業・工鉱業・地質学・地理学などから、法律・経済・文化・歴史・経営・ファイナンス・マーケティングなどまでの広い領域にまたがっているし、職種ないし専門領域を日本流にいえば、建築士・技術士・インテリアプランナー・建築積算資格者・建築/土木施工管理技士・測量士・プロジェクトマネージャー・コンストラクションマネージャー・ファシリティーマネージャーなどから、弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・不動産鑑定士・宅地建物取引主任者・土地家屋調査士・中小企業診断士・不動産カウンセラー、ファイナンシャルアドバイザー・ファイナンシャルプランナー・証券化マスター・証券アナリストなどが、すべてRICSという組織に属しているということになる。ここまで広範囲な領域の専門家によって構成されている団体は、恐らく世界でもRICSだけではないだろうか。

ところで、以下の二つの円グラフは、日本との関連が深いアジアと南北アメリカそれぞれでのRICS会員の専門分野割合の集計である。Valuation分野の割合はいずれも約4分の1Geomatics(地理情報)Building Surveyingがほぼ同一で計10%強となっているものの、それ以外の分野は大きく異なっている。アジア地区では建設コンサルティング系が50%を超えて主要な分野となっているのに対し、南北アメリカでは、建設コンサルティング系、Commercial PropertyValuationが、それぞれ2335%でほぼ拮抗している。アジアの会員総数は南北アメリカの約3倍であり、単純な比較はできないものの、アジアではRICS会員が建設コンサルティング分野で大いに活躍していることは確実である。

 

 

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