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Royal Institution of Chartered Surveyors (RICS)  の紹介と日本における今後の展開③

 

日本ヴァリュアーズ株式会社 代表取締役・不動産鑑定士 磯部裕幸

CRE(米国)FRICS(英国)

(RICS Japanワーキング・グループ、メンバー) 

 

前回までの内容

>>その①

>>その②

 

4.    RICS会員になることの意義

 これまで述べてきた通り、RICSが認定するChartered Surveyorは、法律や制度に守られた資格ではない。従って、会員になったからといって具体的な保証が得られるわけではないし、Chartered Surveyorでなければならないと、法律で規定されているということもない。

 

それでは、なぜRICSがこのように世界中で大きな広がりを見せてきているのだろうか。

一言で言えば経済のグローバル化ということに尽きるであろう。企業活動や資金の流れに国境がなくなってから久しいが、拠点開発という意味で、建築・土木分野はグローバル化がいち早く進んでいるし、財務分野においても会計基準を世界共通のルールに則っとって策定する動きが大きな流れになりつつある。不動産分野においても金融との融合による証券化の進展と共にその傾向はますます顕著になって来ている。企業買収や合併なども、いよいよダイナミックになりつつある。

世界中で複合的に意思決定をする場合に企業が様々な地域で専門家にアドバイスを依頼するとしよう。その場合、個々のコンサルタントに対して同じ基準に基づいた同一クォリティーのパフォーマンスを期待するというのは、クライアントとして当然であろう。

 

日本におけるコンサルティング分野でもっとも国際化が早く進んだのは建築・土木分野だろうが、例えば海外プロジェクトにおいて依頼者・施主側の責任者がRICSの会員であることは決して希ではなく、こちらもメンバーであればコミュニケーション自体RICSという共通基盤に立って進めることが可能になる。

 

私の個人的な体験で言えば、海外のクライアントから日本の不動産の鑑定評価を依頼される場合、ここ数年RICSValuation Groupが規定する基準 (通称Red Bookと呼ばれているもの) に準拠したレポート作成の可否が条件となるケースが増えてきているという事実もある。

 もっとも、現時点では国内クライアントからの依頼による国内の案件は国内基準に準拠していれば事足りるわけであり、プラスαとしてRICSのスタンダードに適合させるという必要性は決して高くはない。その意味では、海外案件ないしグローバルなクライアントへの対応が不要な日本の各種専門家にとって、Chartered Surveyorになるインセンティブはあまりないのかもしれない。

 

 しかしながら、国内事象についてRICSが一定の影響力を及ぼす立場に立つことがあるというのも事実だ。現在進行中だが、タイでは同国証券取引委員会が鑑定士を規制するためにAsset Valuer Profession Act (資産評価専門家法)を立法するに当たり、RICS Asia事務局はアドバイザーとして委嘱され、グローバルな視点から各種意見を継続的に提供している。先進国ではなく発展途上国だからだろう、と言ってしまえばそれまでなのだが、中国でもRICSとして行政に対して都市計画やまちづくりに関するアドバイザー機能を果たすことがある。また、アメリカでRICSは、不動産を含むすべての資産評価基準の総括機関であるThe Appraisal Foundationの唯一の海外スポンサーとなっており、このこともRICSの影響力の大きさを物語っている。

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