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Valuation領域のグローバル・トレンドから見えてくるコト

磯部裕幸

日本ヴァリュアーズ株式会社代表取締役

不動産鑑定士、CRE、FRICS

 

今年の10月に親しい不動産鑑定会社との間で小ぢんまりだが合併し、社名を新しくした。それと同時に全国の拠点都市で活動している複数の鑑定機関ともアライアンスを組んでいくことにした。個人の力だけでは社会の要請に責任をもって答えていくことが難しくなったことを実感してきたからだ。しかしこれからのグランド・デザインが描けているはずもなく、ここは一つ海外の知人・友人に会って啓発されるのが手っ取り早いと考えた。そんな訳で、今年の秋は色々な会議に参加して多くの人から大いに刺激を受けてきた。

 

9月末には、米国不動産カウンセラー協会(The Counselors of Real Estate)が海外で初めて開催したロンドンの国際コンファレンスに参加した。ヨーロッパ12ヵ国と米国のCREで総勢30名ほどの和気あいあいとした会議だった。アジアからは私一人だったので緊張もしたが大歓迎されたのは有り難かった。世界経済の動きやグローバルな不動産市況についてのアナリストからのプレゼンテーションの後に、参加者一人一人が自国の現状について急遽スピーチすることになったのだが、不動産の専門家はグローバルな共通言語を介することで全員が簡単にコミュニケートできるということを改めて感じた。ResidentialCommercialIndustrialに区分けした上で、賃料、空室、キャップレイト、金利水準、そして価格だ。それらを、過去、現在、未来について語れば、各国の実態と国や地域間の相対比較が容易にできた。初対面のギリシャやチェコ、トルコやレバノンの参加者とも、当然ながらコミュニケーションはあっという間に成立した。今頃気づくのは遅すぎるのかもしれないが、不動産は、既にグローバルになっていたのだった。

 

10月の始めには、IVSC年次総会出席のためマイアミに行った。本稿でも以前ご紹介した国際評価基準(IVS)の新基準公開草案が6月に発表された後でもあり、来年の最終基準公表に向けて様々な議論があった。25カ国から官民40を超える団体・機関が参加したが、今回は、4年に一度開かれている米国・カナダのBusiness Valuation Conferenceに合わせ、IFRSFair Value、監査における評価人の役割、評価対象アセットの広がりなどをテーマとするInternational Business Valuation Summitも同時開催された。IVSC年次総会の参加者構成も、不動産評価系に加え、ビジネス評価系の団体・組織が目立っており、会計系バックグランドの人たちとの評価談義は、向かいつつある時代の方向性を感じ取るには十分であった。

 

そして11月半ばには、香港で開催されたIVS新基準公開草案に対する地域円卓会議に出席できた。アメリカ、イギリスと合わせ三回にわたって開催される公開ヒアリングだが、評価側からは香港の主要鑑定会社と中国・タイ・日本()が、利用者側からは監査法人・証券取引所・アジア太平洋不動産協会(APREA)が出席し、IVSC担当理事と共に率直な意見交換をした。この機会に鑑定会社も数社訪問できたが皆元気が良かった。

消極的な未来に終始しがちな議論から脱皮する必要性を、身をもって実感した秋であった。

 

 (株式会社不動産経済研究所「不動産経済ファンドレビュー」2010年12月5日No.203 掲載記事より)

 

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